四月のお手紙   2006



      想い出は巻尺になって

      私の心に仕舞われています。


      巻尺の目盛りは、桜の木です。

      平凡でもなんでも、こればっかりは…。



      震災の春、桜は眩しくて

      そっと避けて通りました。


      何とかして見せてあげればよかったと

      今も悔やまれる桜があります。

      しかたないよネ…




      川辺の桜は、水面に映る陽光を慕って

      低く低く枝を伸ばします。

      幻に憧れて枝垂れた桜は、いじらしくも美しい…

      真実を知るばかりが、幸せではないのかもしれません。



      びゅうびゅうと吹く風の中で

      花びら一つ散らない桜を見ました。

      風の荒い土地では、桜も強いのです。



      桜が咲くと

      見にゆかなければ!…と思います。

      お祭の日に、お囃子が聞こえてきたように

      じっとしていられない気がします。


                      堀江はるよ


                          

                                
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                  2006年4月 更新履歴


           4月1日
                    四月のお手紙

                                   東と西…まつのは


           4月15日    友の会ティールーム 活字の効用




       「作曲その周辺」


     「思ったこと考えたこと」

    4月1日       凧あげ