九月の手紙    2016


             台風直撃の釧路から

             8月21日に頂いたメールを

             ご了解を得て 転載いたします



 
  御心配いただきありがとうございました。

義弟の嫁さんが、釧路と根室の中ほど辺りに住む漁師の娘さんで、
"今年はスケソウダラがとても豊漁だった。昔から、そういう年は
天変地異があるというので、気をつけなさいよ” と言うので、
地震か津波かと予想していたのですが…。

こちらでは、めったに台風上陸がないため、
台風への対処に慣れておりません。

職場から帰るときに飛ばされそうになったり、
夕食時から停電になったり(蝋燭の生活は久しぶり)、
朝起きると隣家のトタン屋根が飛ばされて、その一部が
我が家の玄関の前に突き刺さっていたり。

海に近いので潮混じりの雨が街路樹や庭の植物を襲います。
殆どの葉が塩害で枯れ、痛めつけられた植物は、その後の
更なる台風の影響で、腐り始めています。

十勝の豆、北見の玉ねぎ、空知方面の米など、軒並み大被害。
釧路近郊の野菜もかなりのダメージを受けました。牧草も倒害…
…ということは酪農飼料の供給も難しくなるということです。
その深刻さは、後あと現れてくるでしょう。

植物がダメになると、虫がダメになり、魚のえさが減り、鶴が困ります。
ヒグマも困ります。彼らの食状況が悪くなると、人間の生活領域に来ます。
そして人間も困ります…というより、ヒグマに出会ったら死にます。
冗談ではないのです。キタキツネやエゾシカは、既に私の住居近くでは
当たり前に出会う野生生物になっております。


九月にクープランの「ルソン・ド・テネブル」を演奏する機会を得ました。
台風で停電の夜、蝋燭の灯りのもとで、ヴィオラ・ダ・ガンバを練習。
思いのほか有意義な一夜を過ごしました。

             2016.8.21 
                     釧路より M


 
    
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       堀江はるよ

    
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2016年 9月 更新履歴


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